火花を読んだ
又吉直樹氏が芥川賞を受賞 した話題作を今更だが以前から興味があったので読んでみた。厳密に言うとオーディオ小説を音声で聞いたのが正しい。感想を単刀直入に言うと物語そのものは、期待していた満足のいく内容ではなかった。
しかし、芸人という夢を追いかける主人公の徳永と先輩芸人の神谷の不器用で何かもがいている姿に、又吉直樹氏から見た芸人の世界を見たような感覚があり、ある種のドキュメンタリーを聞いているような感覚があった。
2人が追いかけた芸人像に通じる現実世界
人は、先人達の功績を見て「スポーツ選手になりたい」「歌手になりたい」「役者になりたい」など夢を抱く、彼らの夢見た芸人も然り。
徳永は凡人であるが故に、突き抜けた感性を持った四つ年上の神谷に羨望の眼差しを向ける、神谷は天才肌故に世間からは理解されずまた迎合することもせず、誰かを師事することもしない不器用な人間。
はっきり言って神谷のギャグは世間からズレていてつまらない。(私生活でも関わりたくないタイプ)
時代が追いついていなかったと言えば聞こえはいいが。
お笑いに限らず、天才的とモテはやらされても、何処かで妥協が必要だし、優しい身内以外の第三者の厳しい意見を飲み込まなければならない、時には力不足を認め、その道の先達を師事し学ぶこともしなければならない。
一方で徳永も神谷の才能を認めて師匠と呼ぶのではなく、彼を追い抜く覚悟が必要だったのではないか。
そのように感じた。
まとめ
又吉直樹さんの小説。物語は僕的にはイマイチでしたが、又吉さんの目を通して見た芸人の世界だと感じられたら興味深い作品ですね。表では人を笑わせる仕事だけど、お客さんの見えない所では、様々な葛藤があり、真剣に馬鹿なことやアホらしいこと考えている。
徳永と神谷には、モデルがいるそうで、徳永は又吉さん本人、神谷は彼の芸人の先輩の橋本さんという方で、年もお互い近いが又吉さんは彼を師匠と呼んでいるそうです。
現実では、お互い芸人を続けており、又吉さんは芥川賞を受賞するなど大きな成功を収めていますね。
さて、職業は違えども、今の自分は、徳永になってないか?または、神谷になっていないか?夢を追いかけ苦しい時に自分に照らし合わせて考えてみたい作品でした!
それではまた!