死を忘れた日本人

死を忘れた日本人

約 12 分で読めます。

死を忘れた日本人 「どこに死に支えを求めるのか」という本を読みました。

死を忘れた日本人 中川恵一著 朝日出版 この本の魅力は、宇宙の神秘から科学的な話、時間の概念、細胞や遺伝子、宗教、医療、文化など様々な視点から死について考えられている点です。

  • 宗教から見た死
  • 時間から見た死
  • 宇宙から見た死
  • 科学で見る死
  • 文化から考える死
  • 医療から見た死

約255ページ程のページ数は普段本を読む習慣がない方には長いかもしれませんが、上記のポイントから死を考えるどれかのアプローチに、琴線が触れ生きるかとのヒントになると思います。

人は何故生きているのか?答えを探している方にオススメの本です。

死を忘れた日本人 私達は死を身近に感じない環境にいる

健康に生活を送っている時、人は死を意識することはありません。

有名人が亡くなる、遠くの場所で災害や紛争で多くの死者が出る。

心では、残念だと感じながら、どこか気持ちの面で死を身近に感じることはありません。

しかし身近な人や家族が亡くなった時に、死を身近に感じるかもしれません、

しかし、頭では死を分かっていても、死は他人事、「いつか必ず自分も死ぬんだ」という実感は湧かないものではないでしょうか。

僕は時々、寝ている時、「あぁ自分はこの世界からいつかいなくなるんだ寂しいな」というハッとする思いを夢の中で感じます。

目がさめると、怖さと寂しさ、時間を無駄にしたくない、そういう気持ちになります。

死を忘れた日本人 死を身近に感じにくい世の中

世の中が発展し便利になるほど、人は死から遠ざかるそうです。

昔は家で家族に看取られながら亡くなるケースが多く死は身近な出来事として受け入れられて来たそうです。

しかし、現代は死は病院で迎えることが多く、葬儀から火葬まで、業者にお金さえ払えばスムーズに進み、残された人が死者に向き合う時間は僅かです。

僕のおじいちゃんが亡くなった時は、いわゆる孤独死、自宅で亡くなっていたと一報を聞いて、火葬までの時間は、高齢だった為、兄弟や友人もいませんでしたので、家族葬という簡潔な葬儀を行い、あっというまのお別れでした。

未婚率の上昇、出産率の低下で今後更に核家族化による独居老人や生涯未婚の老人が増え、死亡から火葬まで事務的に運び、最悪の場合は引き取り手が無い、このようなケースは増えると思います。

話は少し逸れますが、未婚の実家暮らしの方は、親亡き後のことを考えると、時間が過ぎている感覚も麻痺して、いつまでも親がいて快適な暮らしがあると錯覚してしまいがちです。

中年期に差し迫り、自分の身の回りのことができない、恋愛能力も低い状態から、結婚というのも、かはなりハードルが高く、自身が孤独死・無縁仏予備軍、に片足を突っ込んでいることに自覚がない方は多いのではないでしょうか。

そんなことを気にしないという方もいます。

癌で死ぬくらいなら、ピンピンコロリが良い?欧米との価値観の違い

死を忘れた日本人では、日本人の死の多くの原因でもある癌について、死との関係性にスポットを当てています。

何故日本では癌が多いのか、これらは高齢化社会により、癌になる高齢者の全体数が上がった為だそうです。

癌とは遺伝子のエラーから起こる病で、細胞には分裂する回数制限がありますから、遺伝子のエラーは細胞分裂の回数も残り少なくなった高齢者ほど起こりやすくなります。

日本人は癌では死にたくないと思う人がほとんどでしょう、癌は苦しい

死ぬなら死を意識しないピンピンコロリあっという間がいいと。

しかし欧米では、末期癌患者の痛みを取る緩和医療が発展しており、できるなら癌で死にたい方が多いそうです。

死まで普通の時間を家族と過ごし、死ぬまでやり残したことをやって死ぬことができるからだそうです。

日本でも、緩和医療の法的な整備が進めば癌で死にたい方が増えるのかもしれません。

人は宇宙からできている

人を含む生命や宇宙は水素原子炭素原子酸素原子などの原子で構成されています。

この原子は星が爆発する時の核融合によって作られようです。

生命や星、宇宙にも終わりがあります。

しかし人間や星が死んでも無にはなりません、形は無くなっても原子として残り、新しい星や生命の素材になるのです。

それを考えると、自分が死んだ後の自分を構成していた原子は、また新しい命になると考えたら、死イコール無とは思えません。

人は死なぜ死ぬのか

地球ができた時に、最初に生まれ始めた、バクテリアが進化して様々な成分に進化しました。

バクテリアは死なないそうです。バクテリアは分裂し続けて生き続けます。バクテリアの遺伝子は輪になっていて何回でも無限に分裂できるそうです。

バクテリアは皆、クローンといえます。

しかし、人間などの生き物は細胞の分裂回数は決まっておりその度に遺伝子は短くなり老います。テロメアが短くなると言われる現象ですね。

分裂する際に遺伝子がエラーを起こすことがあり、それが癌細胞になります。不思議なことに人間の有限な細胞だったはずの癌細胞はバクテリアに似ていて、正常な細胞を食い尽くすまで増え続けます。癌細胞は抗がん剤でやっつけられなければ、更にパワーアップして転移し、手がつけられなくなる厄介な細胞です。

人間は分裂できませんので、分裂するには交配による種の保存が不可欠です。しかしこの交配によって人間は多様な姿形や個性を持って生まれます。バクテリアに個性はありません。

交配による多様性な繁殖をするには、細胞は固体として死を選択する必要があったそうです。

だから80歳の老人の細胞からバクテリアのようにクローンを作ってもコピーされた新たな細胞は80歳のままだそうで、

細胞を0歳に引き継ぐ方法が交配による繁殖なんだそうです。因みに精子と卵子は細胞分裂をしても遺伝子が短くなることはないそうです。だから生まれた赤ちゃんの細胞はゼロの状態なんだとか、不思議ですね。

個体は死んでも遺伝子は旅をする

遺伝子は私達の身体を宿り木のように次から次へと移りながら、地球ができてから、ずっと変化しながら時間を旅をしています。もしかしたら、宇宙そのものが生命であるなら地球ができる以前から遺伝子を使った別の大いなる意思がそうさせているのかもしれません。

死を忘れた日本人 まとめ

死というテーマは暗くなりがちですが、そういった私達の感覚自体が死を忌み嫌い、死を忘れた証拠なのかもしれません。

私達人類の祖先を辿ると7人に行き着くそうです。

私達の遺伝子が次にバトンタッチした時点で

たとえ自分が種を残さないとしても別の場所でバトンタッチは行われていて、遺伝子としては目的を終えています。

しかし私達には楽しむ時間が残されています。

笑ったり泣いたり、恋したり、歌ったり、感動したり、固体の命は有限、死があるから人生を楽しめる。

それは遺伝子からのプレゼントなのかもしれません。

それではまた!

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死を忘れた日本人
中川恵一 著

ベストセラー『がんのひみつ』(2008 年1 月小社刊、累計20 万部)の著者が、「死を忘れた日本人」に向けて放つ第二弾。2 人に1 人ががんになり、3 人に1 人ががんで亡くなる「世界一のがん大国、日本」。はたしてどれだけの人が、自らの末期(死)に思いをはせているでしょうか。病院死がほぼ100%となり、核家族化が進行した結果、家族の老いや衰弱を見守り、最期を看取る習慣もなくなりました。死が視野に入らないのです。「死を忘れた」奇っ怪な環境に生きるのが私たち日本人と言えそうです。